Tricount、Splitwise、個人用家計簿アプリ:旅行にはどれが最適?
割り勘アプリが記録するのは「誰が誰にいくら返すか」。家計簿アプリが記録するのは「自分が実際にいくら使ったか」。旅行後に知りたい答えに合わせてツールを選びましょう。
文:Pierre Teo · 更新日
目次
- ひと目でわかる比較:Tricount vs Splitwise vs Splid vs CashJot
- Tricount(トリカウント)の無料化で何が変わった?
- Splitwise(スプリットワイズ)無料版の「1日4件」の壁
- Splid:アカウント不要・買い切りの選択肢
- 割り勘アプリが答えてくれない「自分の本当の旅行費用」
- 二重計上を防ぐ「自分の負担分だけ」ルール
- 旅のスタイル別・おすすめ早見表
- よくある質問
- Tricountは完全に無料ですか?
- TricountのCSVエクスポート機能はどうなりましたか?
- Splitwiseの無料プランには今でも1日の入力制限がありますか?
- 割り勘アプリと個人用の家計簿アプリは両方必要ですか?
友人やグループでの旅行中、一番差し迫ったお金の疑問はシンプルです。「誰が誰にいくら立て替えていて、どうやって精算するか?」
しかし帰国して数週間後、クレジットカードの請求書が届いたときに知りたい疑問は変わります。「この旅行で、自分は結局いくら使ったんだろう?」
TricountやSplitwiseは、1つ目の疑問(精算)のために作られています。一方、個人用の支出管理アプリは2つ目の疑問(自分の出費総額)のために作られています。旅行のお金管理でモヤモヤが残るのは、1つのアプリでその両方を解決しようとしたときです。Redditのr/Fireでも、シンプルな記録ツールを探していたユーザーがこう漏らしています。「見つけるアプリ(Splitwiseなど)はどれも『誰が誰に借りているか』にばかりフォーカスしている」(r/Fireのスレッド)。
ひと目でわかる比較:Tricount vs Splitwise vs Splid vs CashJot#
| 項目 | Tricount | Splitwise | Splid | CashJot |
|---|---|---|---|---|
| 主な役割 | グループの割り勘・精算 | グループや同居人との割り勘 | アカウント不要の割り勘 | 自分自身の支出管理・旅行予算 |
| 無料プランの制限 | 無制限 | 1日4件まで | 1グループまで | 手動記録は無制限・1グループ |
| 有料プラン | なし(完全無料) | Pro:月額または年額サブスク | 買い切り($3.99) | Plus(サブスクまたは買い切り) |
| アカウント登録 | 不要(リンク共有で参加) | 必須(全員の登録が必要) | 不要 | 不要 |
| CSVエクスポート | なし(2024年に廃止) | あり | あり(Plus) | あり(Plus) |
| 自分の旅行総額の把握 | 不可(個人モード廃止) | 不可 | 不可 | 可能(1日の予算ペース表示付き) |
- 同行メンバーがすでにSplitwiseを使っているなら: Splitwiseがスムーズです。ただし無料版の「1日4件まで」の入力制限には注意が必要です。
- 登録不要・完全無料で無制限に割り勘したいなら: Tricountが最適です(ただしCSV出力や統計グラフは廃止されています)。
- 広告なし・買い切りでオフライン割り勘をしたいなら: Splidがシンプルです。
- 「自分が今回の旅でいくら使ったか」を把握したいなら: 割り勘アプリと並行して、CashJotのような個人用トラッカーで「自分の負担分だけ」を記録するルールを取り入れましょう。
Tricount(トリカウント)の無料化で何が変わった?#
Tricountはベルギー発の老舗割り勘アプリで、2022年5月にオランダのネット銀行bunqに買収されました(bunq公式発表)。その後2024年のリニューアルで料金モデルが一新され、従来の有料サブスクリプション(Premium)が廃止されて、課金なしの完全無料アプリになりました(App Store掲載ページ)。作成できるグループ数も入力件数も無制限です。
ただし無料化に伴い、旧Premiumの便利機能が開放されたのではなく、いくつかの機能が削除されました。Tricountのヘルプセンターでは、廃止された機能として以下が挙げられています(Tricount公式ヘルプ):
- CSVおよびPDFへのエクスポート: 廃止(再開予定なし)
- パーソナルモード(共有しない個人用の家計簿モード): 廃止(再開予定なし)
- 支出の統計・グラフ機能: 一旦削除(「将来のアップデートで対応予定」と記載)
- カスタム割り勘比率の保存: 一旦削除(「将来のアップデートで対応予定」と記載)
現在bunqは、アプリのサブスク課金ではなく自社の銀行カード事業を通じてTricountを運営しています。App Storeのプライバシー表示には、トラッキングに使用される識別子や、ユーザーに関連付けられた連絡先・識別子・診断データが記載されています。
純粋な「グループの割り勘計算ツール」としては、Tricountは今でもトップクラスに優秀な無料アプリです。人数無制限、外貨対応、最小回数の精算提案、オフライン入力、そして友達にアカウント登録を強制しないリンク共有が揃っており、米国App Storeでも6,800件以上のレビューで4.9星の高評価を得ています(tricount.com)。
変わったのは一点だけです。現在のTricountは「純粋な割り勘精算ツール」であり、「個人の支出管理アプリ」ではなくなったということです。「自分は何にいくら使ったのか?」を振り返るための機能(統計、CSV出力、パーソナルモード)がまとめて削られたためです。
Splitwise(スプリットワイズ)無料版の「1日4件」の壁#
Splitwiseの最大の強みはネットワークです。旅行に一緒に行く友人やルームメイトがすでにアカウントを持っている確率が最も高く、iPhone、Android、Webブラウザ間でスムーズに同期されます。
ただし、無料プランには厳しい日次制限があります。Splitwiseの公式ヘルプにある通り、**「無料ユーザーが追加できる支出は1日あたり最大4件まで」**に制限されています(Splitwise Pro公式ヘルプ)。
旅行中の観光日(朝のコーヒー、電車の切符、美術館のチケット、ランチ、午後のジェラートなど)を順番に入れていると、夕食の前に「1日4件」の上限に達してしまいます。この制限を解除するには有料のSplitwise Pro(米国App Storeでは月額$2.99〜$4.99、年額$29.99〜$39.99、国やキャンペーンにより変動)への加入が必要です(App Store掲載ページ)。
Splid:アカウント不要・買い切りの選択肢#
Splid(スプリッド)はドイツ発のインディー割り勘アプリで、アカウント登録不要・サブスクなしのシンプルな設計が特徴です。
サインアップなしでグループを作れ、オフラインでも動作し、150以上の通貨に対応、参加コードを共有するだけで友達を招待できます(App Store掲載ページ)。複数グループの作成やCSV・PDF出力のロック解除は**買い切り($3.99)**のSplid Plusのみで、月額課金はありません。唯一のハードルは、同行メンバーに新しくアプリを入れてもらう必要がある点です。
割り勘アプリが答えてくれない「自分の本当の旅行費用」#
Tricount、Splitwise、Splidが記録しているのはすべて同じもの、つまり**「メンバー間の貸し借り(立替精算)」**です。
どの割り勘アプリも、**「今回の旅にあなた個人がいくら使ったのか」**は教えてくれません:
- 1人で買った空港のコーヒー、薬局での買い物、家族へのお土産(割り勘に入れない出費)
- ホテルやグループディナーのうち「自分の負担分」の金額
- 自宅から空港までの往復交通費
旅の本当の総額と、現地での1日あたりの予算ペースを知るには、個人用の支出管理アプリが必要です。
旅行専用アプリのTravelSpend(月額$4.99、年額$24.99、または買い切り$59.99。同期にはアカウント登録が必要で、App Storeのプライバシー表示にはサードパーティ広告トラッキングが含まれます)を使う人もいますが、普段使いできるローカル型の支出トラッカーなら、アカウント不要・広告トラッキングなしで機内や圏外でも使え、帰国後もそのまま日常の家計簿として活躍します。
CashJotでは、旅行ごとに専用の支出グループを作り、出発日から帰国日までの期間指定予算と現地通貨(固定レート)を設定できます。レジ前での入力はテンキーで2秒、店頭のApple Payタッチ決済はiPhone上のショートカットから取り込め、データはiPhone本体と個人のiCloudにのみ保存されます。2つ目以降の支出グループ、期間指定予算、外貨での記録はCashJot Plusに含まれます。

二重計上を防ぐ「自分の負担分だけ」ルール#
グループ旅行で最もすっきりする方法は、**「メンバー間の精算はTricountやSplitwiseに任せ、自分の家計簿には自分の実質負担額だけを記録する」**というルールです(詳しくは旅行の支出記録ガイドでも解説しています)。
- 友達がディナー代を立て替えた場合: Tricount上で自分の割り勘分が¥4,000なら、個人の家計簿には**¥4,000**と記録します。
- 自分がテーブル全員分のディナー代をカードで支払った場合: 会計で¥16,000を支払い、あとでみんなから¥12,000返ってくるなら、個人の家計簿には支払った¥16,000ではなく、自分の負担分である¥4,000だけを記録します。
- 1人で買ったもの(カフェやお土産): 割り勘アプリには入れず、個人の家計簿にだけそのまま記録します。
テーブルでかかる時間はわずか10秒です。これで旅行が終わったとき、割り勘アプリは「誰にいくら送金すればいいか」を正確に教え、個人の家計簿は「今回の旅行で自分がいくら使ったか」を1円の狂いもなく教えてくれます。
旅のスタイル別・おすすめ早見表#
| 旅行のタイプ | おすすめの選択 | 押さえておきたい注意点 |
|---|---|---|
| グループ旅行(全員がSplitwise登録済み) | Splitwise | 無料プランは1日4件までの入力制限あり |
| グループ旅行(登録不要・完全無料で使いたい) | Tricount | 完全無料・無制限だが、CSV出力や統計・個人モードはなし |
| グループ旅行(オフライン&買い切り派) | Splid | 買い切りで快適だが、メンバーにインストールしてもらう必要あり |
| ひとり旅 | 個人用の支出管理アプリ | 割り勘アプリは不要。1日の予算ペース管理に集中できる |
| グループ旅行+自分の旅行総額も把握したい | 割り勘アプリ + 個人用トラッカー | 個人用トラッカーには「自分の負担分+個人買い」だけを記録する |
よくある質問#
Tricountは完全に無料ですか?#
はい。2024年にbunqがアプリを刷新して以降、Tricountにはサブスクリプションもアプリ内課金もなく、グループ数も入力件数も完全無料で無制限に使えます。その代わり、旧Premiumで提供されていた機能(CSV/PDFエクスポート、パーソナルモード、統計グラフ、カスタム割り勘の保存)は削除されました。
TricountのCSVエクスポート機能はどうなりましたか?#
2024年の無料化リニューアルに伴い、CSVおよびPDFへのエクスポート機能は廃止されました(再開予定の発表はありません)。旅行の支出データをスプレッドシート用に出力したい場合は、CSVエクスポートに対応した個人用トラッカーを併用するのがおすすめです(CashJotではCashJot PlusでCSV出力が可能です)。
Splitwiseの無料プランには今でも1日の入力制限がありますか?#
はい。Splitwiseの公式ヘルプに記載されている通り、無料アカウントで追加できる支出は1日あたり4件までです。旅行全体ではなく1日単位で上限がかかるため、移動や観光が多い日は夕食前に制限に達しやすく、制限なく使うにはSplitwise Proが必要です。
割り勘アプリと個人用の家計簿アプリは両方必要ですか?#
友人とのグループ旅行で、「精算」だけでなく「自分がその旅行でいくら使ったか(予算内に収まっているか)」も知りたい場合は、両方を使い分けるのが一番スムーズです。割り勘アプリはグループの精算ボードとして使い、個人用の家計簿には自分の負担分と個人の買い物だけを記録しましょう。
執筆:Pierre Teo(CashJot開発者)


